宇宙桜、奇跡の発芽物語(中将姫誓願桜)

平安の世に中将姫が植えてから1250年間、
発芽したことのない種は、
宇宙の夢を見て眠りから覚めるのでしょうか?

2008年11月14日、宇宙へ旅立った中将姫誓願桜の265粒の種は、
2009年7月31日、若田光一宇宙飛行士とともに地上に帰還し、その年のうちに播かれました。
そして奇跡は起こりました。

2010年3月14日、
地元 岐阜市の名樹木医・吉村隆雄先生(吉村造園土木会長)の手で一粒、次いで同年5月31日に岐阜県森林研究所白鳥林木育種事業地で一粒、発芽に成功したのです。

吉村先生は、赤玉20mm、砂20mm、その上に細砂5mmの層を作って種を播き、その上に水苔をかぶせたそうです。

発芽したのは中将姫の命日とされる3月14日
奇跡の芽が出たときは歓びひとしおでしたが、
奥様によると、イタチがやってきて悪さをしないか、
ある朝、消えてなくなっているのではないかと、
芽のことが心配で夜も眠れなかったそうです。

しかし千年を超えて授かった中将姫の娘はすくすく育ち、
地植えしたところ、9ヶ月で2メートル以上も伸びたのです。
いまでは5メートルほどに育ち、2014年には初開花を見ました。

花はこのように5弁ですが、花びらは白く細長く、母樹の形質を確かに受け継いでいます。

千年を超えた姫の志は、
21世紀の空に息づいているのです。