清らな志、中将姫誓願桜

千二百年の麗しき姫の願いが、現代に甦る
三十二弁の楚々たる姿は、
いかなる白無垢よりも美しかった

sChujyo

中将姫誓願桜(岐阜県岐阜市)
国指定天然記念物 樹齢1200年
ほぼ純白の八重桜(20−32弁)

平安王朝極彩色の絵巻
その影には、やっぱり有った。
人間くさい妬み、そねみ、陰湿ないじめが。

藤原豊成(鎌足の曾孫)の娘として生まれた中将姫は
父母の愛をうけて幸せに育っていた。
しかしその容姿も才能も、あまりにも素晴らしかったため、周囲の妬みにさらされる。
やがて母が亡くなると、継母は夫豊成の目を盗んで執拗に姫をいじめるようになった。
その後の姫は、さまざまな伝説に彩られる数奇な人生を歩むのだが、美しい伝説の一つが、ここ岐阜県岐阜市大洞、願成寺に伝わっている。

虐待され、生命の危機にさらされた中将姫は、都をのがれ、諸国を彷徨う。
過酷な旅路の中で幾重にも病を負った姫は、岐阜の願成寺に隠れ、しばし身体を休める。重篤な婦人病だった姫は、この寺で観音様に祈り続け、やがて病は快癒した。
喜びにあふれた姫は、観音様への返礼とともに、世の虐げられた人々、病に苦しむ人々の救済を祈念しつつ、一本の桜の苗を植えた。これが中将姫誓願桜である。
この桜は日本に1本しかない特異な種類であり姫がどこから苗を持ってきたのかは永遠の謎である。

以後1200年間、中将姫誓願桜にはほとんど種が付かず、たとえ種が付いても発芽したことはない。
2008年、スパースシャトル・エンデバー号に乗って国際宇宙ステーション「きぼう」に旅した誓願桜の種は、奇跡的に2本発芽した。そして2本の若木は立派に成長し、2014年、遂に大輪の花を咲かせた。

岐阜県岐阜市願成寺境内で、誰でもこの桜に会うことが出来る。
ここは昔から病に悩む女性を癒すパワースポット、そして美貌や才能をもてあます現代の女性たちの癒しの庭になるのかもしれない。

宇宙的視点から、この星の、いのちの美しさを体感しつつ、ひとつの星で共生するという新しい価値観に基づいた文化交流で、世界を一つに繋いでゆきます。