中将姫、千年の真心に癒されて

2016年4月3日
樹齢1250年の中将姫誓願桜(日本の天然記念物・岐阜県岐阜市願成寺)の保存会30周年記念観桜会に出席しました。

この名桜は、平安時代に藤原の中将姫が植えたと伝えられますが、そこに悲しくも美しい伝説があります。

姫は藤原豊成公の娘として生まれましたが、幼い頃から才色兼備過ぎて妬まれ、母を亡くしたあとの継母からひどくいじめられました。
やがて命さえ狙われるようになった姫は、あやういところで難を逃れて都を脱出しました。
遠い山野を彷徨い歩くうちに身体はボロボロ、岐阜の願成寺に辿り着いたときには重い病にかかっていました。
姫はこの山奥で静養し、十一面観音様に祈り続けたところ病は快癒しました。
そうして姫は、観音様に感謝しつつ、この世のどこかで今日も病に苦しむ女性たちに、回復と平安を、という祈りを込めて、一本の桜を植えたのです。

 桜よ、
  私にかわって永遠に観音様をお守りしておくれ
 そして、
  病に苦しむこの世の女性たちを癒しておくれ

以来、この桜の花びらで作られた御守りはあらゆる婦人病に効くとされ、
願成寺は女性たちの聖地のようになっています。

昭和になって、中将姫誓願桜は日本に一本しか存在しない稀少種だということがわかり、国の天然記念物に指定されました。姫はどこから苗を持ってきたのでしょうか・・・
そしてこの桜の種は小さく、平安以来1250年間、発芽したことはありませんでした。

2008年 縁あって、この名桜の種は、宇宙を旅しました。
その結果、1250年の眠りから目覚めたのか、265粒中2粒が発芽し、大きな話題になりました。
しかも発芽日の3月14日は中将姫の命日・・・
千年を超えて衆生の未来を願う姫の真心に胸を打たれます

2016年4月3日の記念式典


当日を待っていたかのように、中将姫誓願桜は満開でした。

そして奇跡と言われた宇宙桜も、願成寺境内で元気に育っています。

宇宙桜の花は、母樹と違って5弁ですが、白く長い花弁の特徴は、まさに中将姫の娘と言えましょう

ぜひ、中将姫の物語に会いに願成寺にお出かけください
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