宇宙を旅した桜のうち、巨桜ではないものの、珍しい名桜があります。
岐阜市高桑にある高桑星桜・・・この桜の由来は分かっていませんが、大島桜系の珍種で、原木はただ一本しかありません。
花の形がこのように☆マークそのものなので、この名が付けられました。
実はこの桜、はじめは「花伝説・宙へ!」計画の宇宙フライトの候補に入っていませんでした。
岐阜県からは、根尾谷淡墨桜と中将姫誓願桜という、どちらも日本屈指の名桜たちが、すでに宇宙行きを決めていたからです。
ところが、この話を聞きつけた星桜の地元の中学生たちが、宇宙行きに入れてもらえるかもしれない、と、種の準備を始めてしまったのです。
その健気な姿を見た宇宙フライトの責任者が、その場でオーケーを出してしまったという逸話があります。もっとも、その責任者は、現在ワンアースの代表理事をやっているそうですが。
さて、無事宇宙行きの切符を手にした高桑星桜ですが、難問がありました。
実はこの桜、それまでに発芽したことがなかったのです。
中将姫誓願桜と似たような状況ですね。
この問題を打ち破ったのもまた中学生たちでした。
筑波大学の富田-横谷 香織先生の指導を受けた生徒たちは、桜の種の殻を割り、中の実だけをシャーレに取り分け水を含んだティッシュをかぶせて冷蔵庫に入れたのです。この方法で、数日後に発芽に成功しました。
大人たちの保存会が何年かかっても出来なかったことを、子どもたちが実現したという事実は世間を驚かせました。
中学生たちは、この成果を生態工学会でポスター発表し、学会長から特別表彰を受けたのです。
そんな爽やかな物語を秘めた宇宙星桜
2010年に発芽して、2015年に初開花しましたが、
その花はどんな姿なのでしょう?
やはり母樹に似ていて、清楚な若さを放っているようですね。
花びらはやや丸く、優しくつつみこむような感じがします。
これが宇宙星桜の全景です。
岐阜市柳津地区の善覚寺の庭にて、誰でも見ることが出来ます。
善覚寺
〒501-6122 岐阜県岐阜市柳津町高桑2丁目205
電話:058-279-1244
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